2025.12.25
ルーフバルコニーの価格相場は？注文住宅に設置するときのポイント

土地の広さに余裕がなくても、屋外の心地よさを取り入れられるルーフバルコニー。食事を楽しんだり、子どもを遊ばせたりと、暮らしの中に開放感を加えられるスペースです。近年は、庭を設けにくい都市部を中心に、ルーフバルコニーを取り入れる住まいが増えています。

一方で、ルーフバルコニーの設置費用やメンテナンス費はわかりにくく、全体の金額を把握しづらいのが実情です。初期費用に加え、防水や定期点検といった維持管理費まで試算しておくことで、無理のない資金計画を立てられます。

本記事では、ルーフバルコニーの価格相場・維持費の目安をご紹介します。屋上スペースを取り入れようか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

注文住宅のルーフバルコニーとは？

ルーフバルコニーとは、下階の屋根部分を床として活用する屋外スペースです。建築基準法に固有の定義はありませんが、屋根のない開放的な空間として扱われます。ここでは、ルーフバルコニーの価格・費用を理解するうえで押さえたい基礎知識を解説します。

通常のバルコニーやベランダとの違い

一般にバルコニーは屋根のない屋外スペース、ベランダは屋根付きの屋外スペースを指します。ルーフバルコニーは屋根がなく開放的な構造のため、分類上はバルコニーに該当します。

ベランダは雨の日でも洗濯物を干せる利点がありますが、日当たりはバルコニーに劣ります。ルーフバルコニーは日当たりと開放感を重視する方に向いた選択肢といえるでしょう。

ルーフバルコニーの構造

ルーフバルコニーは、下階の屋根部分を床に使う構造です。通常のバルコニーが建物から張り出す形で設置されるのに対し、ルーフバルコニーは階下の屋根全体を土台にするため、より広い面積を確保できます。

ただし、床の下が居室になるため、通常のバルコニーにはない工事が必要です。具体的には、雨水の侵入を防ぐ防水層、人や家具の重量を支える構造補強、水たまりを防ぐ排水勾配の確保などが挙げられます。

ルーフバルコニーの設置費用・価格が高くなる理由

ルーフバルコニーは、通常のバルコニーに比べて設置費用が高くなる傾向があります。先述したように、下階が居室になる構造では防水・構造補強・排水・断熱といった追加工事が必要になるためです。詳しく見ていきましょう。

防水工事が必要

ルーフバルコニーで最も重要なのが防水工事です。下階に居室があるため、防水層の劣化は雨漏りに直結します。工事費は、FRP防水で1㎡あたり5,000〜10,000円程度、ウレタン防水は4,000〜6,000円程度が相場です。実際は工法により異なるため、施工業者に正確な見積もりを取ってください。

防水の精度が不十分だと、数年で雨漏りが発生し、天井や壁の補修にまとまった費用がかかることもあります。初期費用を抑えすぎると、かえって維持費が膨らむため、信頼できる施工業者を選ぶことが大切です。

構造補強が必要

人や家具の重量を支えるため、構造的な荷重計算が求められます。一般的な設計基準では、180〜200kg/㎡の荷重を想定します。ビニールプールを設置する場合は500kg/㎡近くになることもあり、梁の補強や基礎の強化が必要です。

構造補強が必要になると、梁の補強や基礎強化により追加費用が発生する可能性があります。設計段階で荷重計画を明確にすることで、過不足のない補強計画が立てられるでしょう。

排水・断熱の対策が必要

ルーフバルコニーには、雨水を適切に処理する排水設備が欠かせません。排水口の設置や勾配調整には、1箇所あたり5,000〜15,000円程度の費用がかかります。勾配が不十分だと水たまりができ、防水層の劣化を早める原因になります。

また、直射日光の影響で下階が暑くなりやすいため、断熱対策も大切です。その施工費は、屋根外張り断熱で8,000円/㎡〜、充填断熱で4,000円/㎡〜が目安となります。夏場の冷房効率を考えると、設計段階で断熱性能を高めておく方が長期的にはお得です。

ルーフバルコニーの設置費用・相場相場

ルーフバルコニーの設置費用は、全国平均でおおよそ100〜200万円程度が目安です。この中には、防水工事や手すりの取り付け、床材の施工などの費用が含まれます。

実際の金額は面積や使用する素材、依頼先の施工業者によって異なるため、見積もり時に内訳を確認しましょう。

茨城県で注文住宅を建てる際の総費用

茨城県で土地付きの注文住宅を建てる場合、建設費と土地取得費を合わせた総費用はおおよそ4,500万円が目安です。

この金額は、住宅金融支援機構の調査（2024年度・その他地域）における全国平均値に近く、建設費が約3,549万円、土地取得費が約985万円と報告されています。全国的な水準から見ても、茨城県の家づくりは同程度の予算感で検討できるといえます。

一方で、県内の地価にはエリアごとの差が大きくあります。たとえば、守谷市では坪単価が約45万円（2025年公示地価）と上昇傾向にあり、需要の高さが価格に反映されています。

これに対し、つくばみらい市は坪単価17〜18万円と比較的手頃です。ルーフバルコニーの設置費として100〜200万円を見込むと、総費用は4,600〜4,700万円ほどになるでしょう。

出典：住宅金融支援機構「2024年度 フラット35利用者調査」 https://www.jhf.go.jp/about/research/loan_flat35.html

ルーフバルコニーのメンテナンス費用とは？

ルーフバルコニーは設置して終わりではなく、定期的なメンテナンスが必要です。ここでは、主な維持費の内訳と長期シミュレーションをご紹介します。

防水メンテナンスの費用と頻度

防水層を保護するトップコートは、5年程度で劣化するため定期的な塗り直しが必要です。費用は㎡あたり1,500〜3,000円程度、10㎡のルーフバルコニーなら3〜8万円が目安となります。

そもそもトップコート自体に防水機能はありません。あくまでも、紫外線や摩耗から下の防水層を守るのが役割です。トップコート塗り直しを怠ると防水層そのものが傷み、その時点で全面張り替えが必要になるため注意してください。

通常、防水層の全面張り替えは10〜15年が目安で、費用は㎡あたり5,000〜10,000円程度です。15㎡規模なら15〜30万円ほどかかるため、あらかじめ維持費として見込んでおくと安心でしょう。

メンテナンス費を抑える工夫

維持費を抑えるには、初期段階での工法選びと定期点検がポイントになります。たとえば、耐用年数の長い防水工法を選べば、張り替え頻度を減らせます。なかでも塩ビシート防水は10〜20年の耐用年数があり、長期的なコストを抑えやすい選択肢です。

また、落ち葉やゴミがたまると排水が滞り、水たまりができやすくなります。そうした状態が防水層に負担をかけるため、日頃からこまめに手入れすると安心です。忙しくてメンテナンスが難しい場合でも、排水溝の清掃と目視点検を年1〜2回おこなうだけで違ってきます。

ルーフバルコニーのある暮らし｜施工事例3選

百年住宅は阪神淡路大震災で全半壊ゼロの実績を持ち、35年保証が付いた高耐久住宅です。ここでは、実際にルーフバルコニーを取り入れた百年住宅の施工事例をご紹介します。

【事例1】津波シェルターを備えた屋上テラス（静岡市 I様邸）

海の近くに建てたI様のご自宅は、津波対策として屋上に避難スペースを設けました。船舶用の頑丈な扉を取り付け、万が一のときも家族を守りやすい設計にしています。

屋上テラスからは海を一望でき、普段はくつろぎの場として活用されています。I様は「コンクリート住宅なので塩害にも強く、津波シェルターを見た瞬間に決めました」と話されています。安全性と快適性を両立したルーフバルコニーの好例です。

【事例2】クラシカルな洋館スタイルの屋上空間（小山町 I様邸）

白を基調にしたヨーロピアンテイストの外観が印象的な住まいです。明治・大正時代の洋館をイメージしたデザインで、螺旋階段や大理石の玄関ホールなど、随所にこだわりが見えます。

屋上からの眺望もよく、開放感のある仕上がりです。I様は「断熱性・気密性が高く、コンクリートパネルなので腐食の心配もない点が決め手でした」と話されています。

【事例3】家族で楽しむルーフトップリビング（静岡市 S様邸）

子育て世代のS様邸では、屋上をセカンドリビングとして使っています。

夏はビニールプールで遊ばせたり、花火を観賞したりと、家族の思い出が詰まった空間になっています。屋外のような開放感、そして「わが家」ならではの安心感が調和した住まいです。 

まとめ：ルーフバルコニーで実現する開放的な暮らし

ルーフバルコニーは、庭がなくても屋外のくつろぎ空間をつくれる設備です。設置費用の目安は100〜200万円で、面積や素材、防水工法、依頼先によって総額は変わります。特に防水は雨漏りリスクに直結するため、耐用年数に応じた点検やメンテナンス費をあらかじめ見込んでおくことが大切です。

守谷市・つくばみらい市・つくば市で家づくりをするなら、壁工房にご相談ください。壁工房では、外壁磁器タイルとシステム瓦で、長く手間なく暮らせるメンテナンスフリーな注文住宅をご提案しています。

また、当社は百年住宅の正規代理店として、WPC工法によるRC住宅をご案内しています。耐久性と防水性を両立した、ルーフバルコニーの設置も可能です。まずはお気軽にご相談ください。